巻 頭 言

Colum

2月巻頭言

「歴史の中の集中と分散」

今年の2月は異様な形で時間が経過してきた。
中国の春節景気で世界中が沸き立つのかと思ったら、コロナウィルスという予期しない敵の出現によって世界中の人類が振り回される事態となった。
その原因が景気浮揚の最前線にいた中国が発生の元となっていることによって一層混乱が増すことになった。
歴史は太古の昔からある意味で集中と分散の両極を行ったりきたりして動いてきたように思う。
生物学者の福岡伸一氏が最近の朝日新聞コラム欄に面白い文章を寄稿していた。
氏の有名な著作である「動的平衡」という本を以前読んで大変学習させて頂いたのでこの記事も興味深く読ませてもらった。
氏はコラムの中で生物の歴史で3億年前には地球上に巨大な昆虫類が飛び回っていたが、この巨大化の原因は湿地帯で大繁茂した植物群が吐き出す大量の酸素によって巨大化したのであるが、この植物群は酸素同化作用によって大量のCO2を吸収したので地球は急速に寒冷化した。
その結果昆虫は絶滅し植物群は枯れた。
その植物を微生物と菌類がアミノ酸に分解し再び環境の循環がもどり生物の生存が可能となったのである。
その生物が進化した中で一番大きな群れとなったのが人類である。
しかしそれが今地球上の資源を独占しCO2を再び増加させこの地球を危機に向かわせていると書いている。
これは地球を3億年の歴史から見た場合の集中と分散ではないか。
言い換えれば栄枯盛衰の姿である。

もう少し現実的直近の歴史を見てみよう。
例えば商品流通、特に小売業の動きを見ると我が国は敗戦によって無一物から生活を立て直す為に消費物資の生産に励みその結果小売店が繁栄し国民の生活は豊かになって来た。
さらにそれが発展して便利な買い物を求めて百貨店からス-パ-マ-ケットへと進化し郊外型大型店舗がどんどん建設され低価格を求める大衆の要求を満たしていった。
これが全盛と思ったが一方もっと便利さを求めてコンビニが普及し24時間買い物が出来るようになった。
しかしそれが飽和点に達してくると更に便利なネット販売が大きくなり今や郊外型大型店も百貨店もコンビニも縮小に向かって急速に力を落としてきている。
これはまさに小売業の集中と分散であり栄枯盛衰である。
社会全体、すなわち政治面から考えてみると権力が集中する国民国家が形成され権力が集中してくるところまでくると反対派の政治権力が動き出し国家の分裂すなわち分散に向かって動き出している。
資本主義は資本の集中を目的に全ての力を結集してきたが、集中しすぎて消費市場が追いつかなくなり今度は分散に向かっている。
すなわち大衆の窮乏化、格差の拡大が原因である。
今回のコロナウィルスの発生を見ても人間が都市へ集中しすぎた為にウィルス側から見れば絶好の宿主転換のチャンスとみて子孫繁栄の為どんどん増殖して宿主を変えようとしているように思われる。
小さな動物を宿主のするよりは大量にいる人間に宿主を転換した方が効率が良いに決まっている。
人間は元々山野に少人数で生活していたのであるが便利と欲望の拡大で都市へ集中したが故に自分達の滅亡の危機を迎えているのではないか。
以上見てきたように世界の歴史は何億年前からある時は集中へ向かって力が働きそれが完成するとその反動で分散化が始まる。
今やネットは米中2カ国のネットが地球を独占するかのようになっているがやがて飽和点に達すると分散が始まるであろう。
歴史は波動を描いて動いている。
集中と分散そして選択と集中の結果その矛盾によって分散の力が発生し分割へと向かう。
人類はこの自然の流れをしっかりと見極めないとかつての動植物のように歴史の闇の中に消えていくことになる。
天は二物を与えない。
永遠の繁栄はない。

2020年2月23日 藤村 明