巻 頭 言

Colum

2020年12月巻頭言

「2020年を振り返る」

今年は人類にとって大変な年だった。
今までどこかの国や地方が悪くても、別の国や人々が豊かになったり、嬉しい年だったりしてきたが、本年は地球全体でどの国もどの地方もどの民族も一様に大変な災難に見舞われた。
コロナと米国大統領選挙が原因である。
コロナは中国の武漢から発生したと言われているが、それもたんなる一現象に過ぎず、結局は人類世界全体に広がり拡大し、その後はウイルス自体が進化しつつ次々とあらゆる民族に広がり、死者も日々増大してしまった。
武漢で最初に感染者が確認されてから一年で世界に感染者は6760万人死者は154万人となった。
世界人口の約1%が感染したことになる。
経済は停滞し人の往来は止まり地球全体がコロナに占領されたような様相になってしまった。
そしてその一方で政治の面では各国間に色々と紛争はあったが一番大きな問題は世界のリーダ国である米国大統領の選挙であった。
トランプという個性豊かというか常識外れというかリーダらしくないリーダによって世界中が引っ掻き回されその再選をめぐって大騒動となり、世界各国がその渦に巻き込まれ右往左往されてしまった。
また自然も怒り狂ったように災害をもたらした。
山火事や大雨大水害で大地は痛めつけられ、その上バッタの大発生や旱魃などで農産物も大被害を受け多くの地方で難民が発生し飢餓に苦しむ人口は7億人を超えたと言われている。
このように書くと今年は本当に良いことが少なかった年と言わなければならない。
何故こうなったか?
学者や識者は色々その原因を挙げているが大ざっぱに言えば人間の自然に対する慢心と破壊がブーメランとして人類に襲いかっかたということだろう。
人間は今まで長い歴史をこの地球に刻んできたが文明の発展と技術の開発を無制限に進めて自然との共生を忘れ自分たちが地球の覇者になったと慢心と誤解をしてこの道を邁進してきた。
その結果がこの様である。
各民族の歴史を見ても、ギリシャもエジプトもメソポタミアも中国もヨーロッパも常に民族紛争と利害の対立が争いを呼び地域中を巻き込んで人間の殺し合いは絶えることはなかった。
覇者は必ず自分たちの富を求めて次なる成長を得るために戦いを挑み自然の破壊と殺戮を繰り返してきた。
「戦争に良い戦争などない」と言われながら民主主義のためだ、資本主義を守るためだ、共産主義を確立するためだ、民族解放のためだと色々理由はつけるが結局は虐殺と破壊で終わるのである。
そして2020年再び全世界はウイルスによる見えない戦争に巻き込まれすでに7000万人が感染し150万人が犠牲になったが
今尚収束を見ない泥沼に入っている。
ワクチンで収束すると言われているが感染後遺症の発生で長い期間苦しまねばならない人がどの位生まれるか今は誰にも
予測できない状況である。
2020年は歴史的に見て人類にとって忘れられない一年となった。
戦争でもないのに7000万人が苦しみ150万人が死亡し今尚戦いは続いている。
各国のリーダはコロナ後の世界を色々語っているが米国の衰退は目に見えてきているし中国の覇権はどうなるのか不透明である。
今必要なことは人類が立ち止まって越方行く末をもう一度真剣に考え単なる経済の成長が人類に幸せをもたらすという既成概念を一端捨てて人間はどうあるべきか、自然とどう共生すべきかを考える時であると思う。
2020年はその転機となる一年だったと思えるようになることを心から願っている。

2020年12月13日 藤村 明